2012年9月アーカイブ

子宮頚がん予防ワクチンの副反応被害(慢性期)の分析 ー SLEが発症する

ワクチン接種の副反応はあってはならないものですが、ある程度は必ず起こってしまうのが現実です。また、社会を感染の被害から守るという考えから、ある程度の犠牲は仕方がないという認識になっているようです。(ただし、子宮頸がんの場合、感染が広がって社会を危うくするものではありませんから、この考えに合致するものではありません。)そのためか、慢性期の重症な副反応は、国家補償で救済されればOKとして、発生機序などについては案外検討されない傾向があります。

子宮頸がん予防ワクチン、サーバリックスの、平成24年3月31日までの重篤な副反応の届け出のリストは、資料の2-1の4~23、36~51ページにあります。合わせて1465例になります。発熱、失神寸前の状態、失神、意識消失、痙攣、アナフィラキシーショックなど接種直後の症例が目立ちます。さらに、そのなかに多種の疾患の症例が混在しています。てんかん・痙攣も、注射直後に起こったものと、数時間以上経過してから起こったものでは病態が異なると考えなければなりません。このように、ワクチンの副作用の整理および理解は意外に困難です。


ワクチンの副作用を考える上での重要な論文ーー免疫システムへの負荷が臨界点を越えるとSLEが発症する

このように複雑に見えるワクチンの副反応を考える上で、とても重要な論文があります。SaneVax.org, NaturalNews.comの記事より教えられました。

"Self-Organized Criticality Theory of Autoimmunity(自己免疫の自己臨界点説)"というタイトルの研究論文で、2009年末に英文で発表されたものです。著者は神戸大学の積山賢、宮崎由実、塩沢俊一先生です。自己免疫性疾患、免疫学に関心をお持ちでない方々には解り難い論文と思われます。私もすべて理解出来たわけではありません。幸い、「第3回 神戸大学バイオサイエンス研究会・若手研究者交流会」の演題の抄録に論文の抄録に相当するものがあります(6ー9頁)。大変助かりました。その抄録を紹介します。

「マウスに抗原を繰り返し投与すると、過剰な刺激を受けたCD4+T細胞は、末梢リンパ組織においてT細胞受容体遺伝子の再構成をおこし、自己抗体産生誘導性CD4+T ( autoantibody-inducing CD4+ T; aiCD4+T )細胞になった。また、樹状細胞における抗原のクロスプレゼンテーションにより活性化したCD4+T細胞は、細胞障害性T細胞へと分化し、糸球体腎炎をはじめとする全身性エリトマトーデス(SLE)に酷似した組織障害を引き起こした。このように、免疫システムの安定性には限界点があり、その自己臨界点を超えて過剰な刺激が作用すると免疫システムは破綻し、その結果、膠原病が発症することを見出している。」

実験は、マウスに抗原を繰り返し注射するという単純なものであるため、結果には疑いようがありません。大量な抗原を頻回注射すると、免疫が麻痺すること(anergy)はよく知られた事実です。その現象は、実は、多種の自己抗体がつくられるSLEの状態になる、ということをこの論文は示しています。大変な驚きです。それはシステムの臨界点を超えるとシステムの振る舞いが変ってしまうという、自己臨界点説を示すものだ、ということです。

そして、SLEの発症=免疫システムの破綻、と認識すべき事を示しています。免疫システムは生命を支えるおおきな柱です。破綻に至った免疫システムを戻す手段は、恐らくありません。これは由々しきことです。

autoimmune とは、自動的な免疫という意味ではありません。免疫システムが、自己の抗原となるものに対して抗体を作ってしまい、自己の臓器や組織をターゲットとして攻撃して破壊してしまう状態を自己免疫 autoimmune といいます。これは大変まずい状態です。SLEでは、自身の白血球が自身の
白血球を攻撃貪食してしまいます。それがLE細胞といわれるものです。

免疫システムが自己の抗原を認識したり、攻撃したりしないのは何故か、ということへの説明は、バーネットに提唱されたクローン選択説が定説となっております。免疫のシステムは、初めは遺伝子の組み替えで、無限の種類の抗原に対応する抗体をつくるクローンが作られます。次に抗体自己を認識し攻撃するクローンは取り除かれる、というのがクローン選択説の基本です。
免疫システムへの過剰な負荷で、一挙にあらゆる抗体をつくるという原初の状態に戻ってしまうのでしょうか。

この論文により、ワクチンの慢性期の副反応の分析の見通しが一挙によくなったと思います。
「免疫システムへの負荷が臨界点を越えるとSLEの状態になる」、これががワクチンの慢性期の副反応の main root なのです。

欧米のガーダシル、サーバリックスの犠牲者の記録を翻訳して、急性散在性脳脊髄炎ADEMと全身性エリトマトーデス(SLE, Lupus)を併発している方が沢山みえらえます。オーストラリアの Kristin さん、アメリカの Crissey さん、など。また、日本の子宮頸がん予防ワクチンの副反応リストにも重傷なSLEの症例があります。上の論文は、これらを翻訳したり分析したりしていたときに感じていたものをよく説明致します。ワクチンの副反応の問題についてすべて言い尽くされているように思います。

子宮頸がんワクチンは、サーバリックスにしてもガーダシルにしても、どちらにも強力なアジュバントが加えられており、強力に長期に抗原提示がされるよう設計されています。注射部位の腫れがひどく、長期のこるのはその為です。上の論文を読んだ後では、このような設計が、ヒトの免疫システムにとって如何に不自然で、如何に危険なものであるかが理解されます。絶対に射ってはならないものです。
ひとによっては、一回だけの注射でも、免疫システムへの臨界点を超えることが起こると考えられます。実際そのような例があります。一度ではおこらなくても、2回目、3回目と繰り返し接種されれば臨界点を超えます。そのような事例はガーダシル、サーバリックスの海外の犠牲者の記録を翻訳しているとで何度も出会いました。

副反応の実際

資料1-1の症例一覧の、合わせて1565例は、注射直後の転倒、痙攣、呼吸困難のような急性期の症例が多数入っています。これらの症例は慢性的な副反応には陥らなかったのが大多数とおもいます。このような症例をリストから除いて見直す必要があります。

慢性期の副反応の基本は全身性紅班性狼瘡(SLE, Lupus)であることを頭に置いてリストを見直してみなければなりません。

SLEの臨床症状は多彩で書ききれません。
発熱、全身倦怠、関節炎、筋痛、光線過敏症、蝶形紅斑、落屑を伴う皮疹(紅班)、脱毛、ループス腎炎、精神症状(意識障害、てんかん、けいれん、うつ病)、心のう液貯留、心筋炎、胸膜炎(胸水貯留)、肺臓炎、消化器症状(心窩部不快感、悪心、下痢)、肝炎、リンパ節腫脹、血小板減少症、抗りん脂質抗体症候群(習慣性流産、深部静脈血栓症)。
資料2ー1のリストにある「副反応名」が殆ど挙げられていることに気がつかれると思います。

下に抽出した症例はすべてSLEということになります。それは実際的には役に立たず、やはり症状によって分類せざるをえません。
もっとも社会生活上の困難な問題をおこすのが脳神経障害です。
下の全身性紅班性狼瘡(SLE, Lupus)というのは、項目を立てた症状のないものとなります。

A:は医療機関届出の重篤症例(74)、B:は製造販売業者からの報告597例、C:は医療機関からの報告の非重篤症例(794)から抽出したことを示すものです。

急性散在性脳脊髄炎(76) A: 11, 14, 22, 26, 38, 41, 45, 55, 57, 62, 63, 65, 67,
B:12, 17, 48, 59, 66, 79, 107, 114, 115, 130, 152, 153, 190, 205, 213, 217, 218, 266, 298, 311, 315, (350), 353, 364, 368, 371,372, 382, 383, 386, 387, 385, 386, 412, 442, 443,   470, 483, 485, 495, 509, 515,540, 547, 572, 583, 592, 596, 597
C:4, 32, 50, 174, 251, 328, 343, 383, 422, 486, 487, 532, 573,  602,  

ギラン・バレー症候群 (7) A: 45,  B:152, 344, 566,  C:267, 475, 494,

全身性紅班性狼瘡(SLE, Lupus)関連 (55)  A: 6, 38, 44, 47, 55 , 65,67
 B: 37, 50, 52, 96, 97, 99, 108, 137, 147, 170, 183, 190, 194, 197, 208, 211, 256, 286, 288, 319, 324, 338, 342, 356, 375, 376, 378, 382, 384, 392, 399, 418, 434, 460, 461, 462, 476, 479, 496, 570, ,
C: 1, 137, 140, 428, 597, 749,

若年性リウマチ(スティル病)A:6, B:34, 295

特発性血小板減少症

頭部脱毛 A:56, B:196, 208, 513 C:235, 589,

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